ペニシリンGとアンピシリン (medicina 50巻7号)
緑膿菌を含むグラム陰性桿菌を広くカバーする薬剤です。
βラクタム系薬剤ですが、ペニシリン系/セフェム系アレルギーがあっても使える薬剤です(例外:CAZとは側鎖が同じなので避けるべきです)。
ペニシリン系抗生物質:アモキシシリン・アンピシリン(ABPC・AMPC)
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)や耐性傾向のインフルエンザ桿菌(BLNAR)にもスペクトラムがある薬剤です。
これらの菌を標的としたCOPDの急性増悪、中耳炎・副鼻腔炎などが適応になります。ただし、腸管吸収率はきわめて低く(10-25%)、頻用されることによる第3世代セフェム系注射薬の耐性化が問題となるため、症例を選んで使用するべき薬剤です。
グラム陽性菌に対する活性はペニシリンやアンピシリンに比べると若干劣りますが、グラム陰性菌に対する抗菌活性が強くなっています。
、属の一部、「SPACE」といわれる院内感染で問題になるグラム陰性桿菌(このうち、「A」のアシネトバクターは除く)に活性があります。
SBT/ABPC:スルバクタム/アンピシリン,TAZ/PIPC:タゾバクタム/ピペラシリン,AMPC:アモ
欧米では経口吸収率のよいpenicilin Vが使用できるが、本邦では使用できません。
ペニシリンGの内服薬(バイシリン)をどうしても使用したい場合(例:GAS咽頭炎疑いだが伝染性単核球症がどうしても除外できずアモキシシリンを使いづらい場合)は、胃酸の影響を受けにくい空腹時の投与を検討しましょう。
注射用PC薬は薬剤あるいは疾患ごとに考えます。Viridance Streptococciによる感染性心内膜炎に対しては、ベンジルペニシリン(PCG)の最小発育阻止濃度(MIC)を見極めながら、PCGとゲンタマイシン(GM)を併用投与します。PC感受性の肺炎球菌や髄膜炎菌による髄膜炎に対しては、ABPCあるいはPCGの投与が標的治療となり、リステリア・モノサイトゲネスによる場合はABPCの投与がやはり標的治療となります。院内肺炎や医療・介護関連肺炎では、耐性菌リスクがない場合はスルバクタム/アンピシリン(SBT/ABPC)が、リスクがある場合や緑膿菌も想定される場合にはタゾバクタム/ピペラシリン(TAZ/PIPC)がエンピリック治療の有力な選択肢になります。TAZ/PIPCは他に、免疫不全例の敗血症や好中球減少性発熱などで緑膿菌も想定される場合に選択肢となります。
一般的に、ベンジルペニシリンはグラム陽性菌のみ、アンピシリン、アモキシシリン ..
欧米では梅毒の治療の第一選択肢であったペニシリンの筋注用製剤(ステイルズ)が、2021年に日本でも薬事承認がなされ、使用できるようになりました。
・早期梅毒: ベンジルペニシリン 1回240万単位筋注 単回
・後期梅毒: ベンジルペニシリン 1回240万単位筋注 週に1回 計3回
PC薬の出番は今も多いのですが、経口薬と注射薬とに分けて考えます。経口PC薬では、生体内利用率の高いアモキシシリン(AMPC)とスルタミシリン(SBTPC)およびアモキシシリン/クラブラン酸(AMPC/CVA)の有用性が高く、前2者では連鎖球菌、肺炎球菌、腸球菌、プロテウス・ミラビリス、大腸菌(感受性の認められるもの)などが対象となります。AMPC/CVAではさらに、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)、大腸菌、肺炎桿菌なども対象となります。疾患としては、前2者で細菌性扁桃炎、細菌性中耳炎・副鼻腔炎、軽症の肺炎、軽症の歯性感染症などが対象となり、AMPC/CVAではさらに、イヌやネコなどによる咬傷(破傷風の予防にもなる)、軽症の虫垂炎も対象となります。他には、ヘリコバクター・ピロリ感染症における除菌治療でクラリスロマイシン(CAM)およびプロトンポンプ阻害薬との併用でAMPCが用いられます。なお、高用量投与が必要な場合、AMPC/CVAを増量投与すると消化器症状が出やすいので、同量のAMPCと併用するいわゆるオグサワ処方も考えましょう。
【抗菌薬】ペニシリンアレルギー、 セフェムアレルギーの対応と代替薬
管理薬剤師さま
セフェム系とカルバペネム系の構造入れ違っていませんか?
カルバペネム系はペネム系と同じく5員環だったとおもいますがいかがでしょうか
アンピシリンのスペクトラムに加えて、下記の菌にも活性があります。
・メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(meticillin-susceptible :MSSA)
・多くの腸内細菌
― インフルエンザ桿菌():β-ラクタマーゼでなくペニシリン結合タンパクの問題で耐性化しているBLNAR(β-lactamase negative ampicillin resistance)には無効
― モラキセラ()
― ペニシリナーゼを産生する大腸菌
・横隔膜下の嫌気性菌(など)
アンピシリン(ペニシリン系)を注射し、その治療効果および生産性を評価する試験 ..
主な副作用は、ペニシリンショック(ペニシリン代謝物が生体内蛋白に結合しアレルゲンとなると考えられている。)
β-ラクタム系, ペニシリン系, 注射, アンピシリン, アンピシリンナトリウム, ABPC
過敏反応
ペニシリン投与による「副反応」は0.5~5%に起こるとされていますが、真の「アレルギー」であることはそこまで多くありません。アナフィラキシーや重症薬疹など重篤なアレルギーの既往がある場合は、ペニシリン系、およびペニシリン系と交叉反応を起こす可能性が高いセフェム系やカルバペネム系は避けたほうが無難です。
濃度が得られるのが特徴である. 5 ペニシリン系抗生物質に対する耐性機構
ABPC・SBTの内服版に相当する薬剤です。
βラクタマーゼ阻害薬(CVA)を配合することで、AMPCが有効な細菌に加えて嫌気性菌や腸内細菌への活性があります。市中感染に幅広く有効な薬剤です。
PCG:ペニシリンG商品名 ペニシリンGカリウム、バイシリン®などAMPC:アモキシシリン商品名 アモキシシリン ..
抗生物質の構造が細胞壁を形成するペプチドグリカンのD-アラニル-D-アラニン末端と類似しているため、ペプチドを伸長させるのに必要なペニシリン結合タンパク(PBP)のランスペプチターゼいう酵素が、D-アラニル-D-アラニン末端でなく抗生物質のほうに結合してしまうことによる。
➁ アンピシリン/スルバクタム(ABPC/SBT)、アモキシシリン/クラブラン ..
【ベンジルペニシリン】200万~400万単位 4時間ごと静注 または 1200万~2400万単位 24時間持続静注
髄膜炎・感染性心内膜炎・壊死性筋膜炎などの重症病態では高用量での使用が望ましい
アンピシリン 37%、クリンダマイシン 10% となっている)(金子、2010 ..
◎ レンサ球菌:溶血レンサ球菌による皮膚軟部組織感染症(壊死性筋膜炎であればクリンダマイシンの併用を検討)や緑色レンサ球菌による感染性心内膜炎の第一選択
◎ 髄膜炎菌:髄膜炎菌性髄膜炎の第一選択
◎ 感受性のある肺炎球菌での第一選択:最近ではペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP:penicillin-resistant )が増えている
◎ 梅毒・レプトスピラなどのスピロヘータ属の第一選択
○ クロストリジウム属(など)や口腔内嫌気性菌の大部分(など)
○ その他さまざまな微生物に活性がある:ジフテリア()・炭疽菌 ()・放線菌のアクチノミセス()など
× 黄色ブドウ球菌・大腸菌はペニシリナーゼを産生するため耐性であることが多い
× 横隔膜下の嫌気性菌には無効
歯性感染症の主な起炎菌には、アモキシシリン(サワシリン®など)。
(バンコマイシン・テイコプラニン)抗生物質はD-Ala-D-Ala部位に水素結合してこの部分を覆ってしまい、架橋構造を作るのを阻害する。
アモキシシリン製剤; 錠剤、カプセル剤、細粒剤があり用途などよって選択が可能 ..
青カビから分離された天然抗生物質です。
スペクトラムは狭域ですが、レンサ球菌・髄膜炎菌への強力な活性を持つ「切れ味のよい」抗菌薬です。
半減期が短いため、数時間ごとの点滴もしくは持続点滴で投与します。また、欧米では梅毒治療の第一選択であった筋注用製剤が2021年に日本でも薬事承認され、使用できるようになりました。
セファレキシンや第 3 世代セフェム内服が考えられるが、新⽣児期は消化管吸収が不安定であ
ただ最近は大腸菌などでアンピシリン/スルバクタム耐性化が進んでおり、施設・地域によっては経験的治療に使いづらい場合もあります(自分が診療する環境のアンチバイオグラムを確認してください)。
のベンジルペニシリンの母核を化学的に修飾することによって生産された半合成ペニシリンも
また、耐性化してβラクタマーゼ(ペニシリナーゼ、セファロスポリナーゼ)というβラクタム系抗生物質のβラクタム環を加水分解して開環させて抗菌作用を失活させてしまう酵素を産生する菌も存在し、そうした菌にはβラクタマーゼを阻害する効果のある薬(クラブラン酸、タゾバクタム、スルバクタム)を一緒に投与するか、薬自体にβラクタマーゼ阻害作用を持たせるかをしなければ効果がなくなってしまう。
[PDF] 抗菌薬のエスカレーション療法とデ・エスカレーション療法
青カビから分離された天然抗生物質です。スペクトラムは狭域ですが、レンサ球菌・髄膜炎菌への強力な活性を持つ「切れ味のよい」抗菌薬と言えるでしょう。半減期が短いため、4時間ごとの点滴もしくは24時間持続点滴で投与(腎機能正常の場合)します。
[PDF] セフェムアレルギーと βラクタム系抗菌薬の使用(交差反応)
PC薬の第3群は、PCG骨格の6位側鎖にアミノ基を導入して吸収後の体内持続性とグラム陰性桿菌の外膜透過性を実現したため、広域PCsと位置付けられてPC薬全体の代表ともいえます。この群の代表はアンピシリン(ABPC)と、その経口吸収性を改善したアモキシシリン(AMPC)であって、今日でも有用性は衰えず、PC薬の中で最も繁用されています。ABPCとAMPC以外にも多くの薬剤が使われていますが、PCaseには不安定です。PC薬の第4群は6位側鎖にamidino構造を持つPC薬であり、グラム陽性球菌への抗菌活性は不十分ですが、グラム陰性桿菌にはABPCより強い抗菌活性を示します。PCaseにはやはり不安定です。
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PC薬の第1群はベンジルペニシリン(PCG)に代表される古典的なPCsです。高い効果を挙げましたが、グラム陽性球菌にのみ抗菌活性を示し、β-ラクタマーゼ、特にペニシリナーゼ(PCase)に加水分解される弱点があります。また、PCGは胃酸に不安定で経口吸収率が低い欠点があり、その点を改良した経口用半合成PCsが3剤実用化されています。PC薬の第2群は、1950年代に問題となったPCase産生ブドウ球菌に対して開発されたメチシリン(DMPPC)がその代表であり、PCaseに安定で分解されません。DMPPCは酸に不安定で経口では使用出来ませんが、経口使用が可能な4剤が実用化されています。ただ、抗菌スペクトラムはいずれもグラム陽性球菌に限定されます。
具体的には、アモキシシリン水和物(AMPC)とβラクタマーゼ阻害薬の ..
ピペラシリンにβ-ラクタマーゼ阻害薬であるタゾバクタムが配合されています。
アンピシリン/スルバクタムとの違いは、耐性傾向の強いグラム陰性桿菌への抗菌活性です。院内発症の感染症や免疫不全者の感染症で、緑膿菌などのSPACEや嫌気性菌のカバーを確実に行いたい場合に使用すべき抗菌薬ですが、濫用は慎むべきでしょう。