1)クラリスロマイシンとの薬物間相互作用(外国人データ)34)


17.1有効性及び安全性に関する試験
17.1.1胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染
(1)国内第III相試験(二重盲検比較試験)
ヘリコバクター・ピロリ陽性の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍瘢痕患者を対象に、ボノプラザン20mg又はランソプラゾール30mg、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤を1日2回7日間経口投与した二重盲検比較試験における除菌率は次表のとおりであり、ランソプラゾールを用いた3剤併用療法群に対するボノプラザンを用いた3剤併用療法群の非劣性が認められた。
ヘリコバクター・ピロリ一次除菌注1)率
--------------------------表開始--------------------------
各薬剤の1回投与量除菌率群間差
ボノプラザン20mgアモキシシリン水和物750mg(力価)クラリスロマイシン200mg(力価)又は400mg(力価)92.6%(300/324例)16.7%[11.172%、22.138%]注2)p<0.0001注3)
ランソプラゾール30mgアモキシシリン水和物750mg(力価)クラリスロマイシン200mg(力価)又は400mg(力価)75.9%(243/320例)
()は除菌成功例数/評価例数
注1)13C‐尿素呼気試験の結果が陰性
注2)投与群間差、[]は両側95%信頼区間
注3)許容限界値を10%としたFarringtonandManningによる非劣性検定
--------------------------表終了--------------------------
副作用発現頻度は、ボノプラザン群では20.4%(67/329例)であった。主な副作用は、下痢(35例)及び味覚異常(13例)であった。


相互作用」の「併用禁忌」の項の記載を一部改訂し、以下のように改めました。 [クラリスロマイシン錠200mg・50mg小児用「NPI」共通]

18.1作用機序
アモキシシリン水和物は細菌の細胞壁合成を阻害することにより効果を発揮し、また、クラリスロマイシンは細菌の70Sリボソームの50Sサブユニットと結合し蛋白合成を阻害することにより効果を発揮する。
ボノプラザンは酸による活性化を必要とせず、可逆的でカリウムイオンに競合的な様式でH+,K+‐ATPaseを阻害する。ボノプラザンは塩基性が強く胃壁細胞の酸生成部位に長時間残存して胃酸生成を抑制する。ボノプラザンは抗ヘリコバクター・ピロリ活性及びヘリコバクター・ピロリウレアーゼ阻害活性は示さない。アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンとの3剤療法におけるボノプラザンの役割は胃内pHを上昇させることにより、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの抗菌活性を高めることにあると考えられる。
18.2薬理作用
18.2.1抗菌作用
(1)アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンはヘリコバクター・ピロリに対し殺菌的な抗菌作用を示す。
(2)クラリスロマイシンの抗菌力はpHの影響を受け、酸性では中性に比べて減弱する。一方、アモキシシリン水和物はクラリスロマイシンと比べてpHの影響は少ない。
(3)アモキシシリン水和物とクラリスロマイシンとの併用における抗菌力には、相乗又は相加作用が認められ、いずれの菌株においても拮抗作用は認められていない。

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.重大な副作用
11.1.1.〈ボノプラザンフマル酸塩〉ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)。
11.1.2.〈ボノプラザンフマル酸塩〉汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少(いずれも頻度不明)。
11.1.3.〈ボノプラザンフマル酸塩〉肝機能障害(頻度不明)。
11.1.4.〈ボノプラザンフマル酸塩〉中毒性表皮壊死融解症(ToxicEpidermalNecrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明)。
11.1.5.〈アモキシシリン水和物〉ショック、アナフィラキシー(いずれも0.1%未満*):不快感、口内異常感、眩暈、便意、耳鳴、発汗、喘鳴、呼吸困難、血管浮腫、全身潮紅・全身じん麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.2参照〕。
11.1.6.〈アモキシシリン水和物〉アレルギー反応に伴う急性冠症候群(頻度不明)〔8.2参照〕。
11.1.7.〈アモキシシリン水和物〉薬剤により誘発される胃腸炎症候群(頻度不明):〈アモキシシリン水和物〉投与から数時間以内の反復性嘔吐を主症状とし、〈アモキシシリン水和物〉下痢、嗜眠、顔面蒼白、低血圧、腹痛、好中球増加等を伴う、食物蛋白誘発性胃腸炎に類似したアレルギー性胃腸炎(Drug-inducedenterocolitissyndrome)があらわれることがある(主に小児で報告されている)〔8.2参照〕。
11.1.8.〈アモキシシリン水和物〉中毒性表皮壊死融解症(ToxicEpidermalNecrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも0.1%未満*)、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症、紅皮症(剥脱性皮膚炎)(いずれも頻度不明):発熱、頭痛、関節痛、皮膚紅斑・皮膚水疱や粘膜紅斑・粘膜水疱、膿疱、皮膚緊張感・皮膚灼熱感・皮膚疼痛等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.9.〈アモキシシリン水和物〉急性腎障害等の重篤な腎障害(0.1%未満*)〔8.3参照〕。
11.1.10.〈アモキシシリン水和物〉顆粒球減少(0.1%未満*)、血小板減少(頻度不明)〔8.4参照〕。
11.1.11.〈アモキシシリン水和物〉偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(0.1%未満*):腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.12.〈アモキシシリン水和物〉肝機能障害、黄疸(いずれも0.1%未満):AST上昇、ALT上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.13.〈アモキシシリン水和物〉間質性肺炎、好酸球性肺炎(いずれも頻度不明):咳嗽、呼吸困難、発熱等が認められた場合には、速やかに胸部X線、速やかに胸部CT等の検査を実施すること(間質性肺炎、好酸球性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと)。
11.1.14.〈アモキシシリン水和物〉無菌性髄膜炎(頻度不明):項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐あるいは意識混濁等を伴う無菌性髄膜炎があらわれることがある。
*)発現頻度はアモキシシリン水和物の承認時までの臨床試験又は製造販売後調査の結果に基づく。
11.1.15.〈クラリスロマイシン〉ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):呼吸困難、痙攣、発赤等があらわれることがある。
11.1.16.〈クラリスロマイシン〉QT延長、心室頻拍(Torsadedepointesを含む)、心室細動(いずれも頻度不明):QT延長等の心疾患のある患者、低カリウム血症のある患者においては特に注意すること〔9.1.5参照〕。
11.1.17.〈クラリスロマイシン〉劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全(いずれも頻度不明):劇症肝炎、AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇、AL-P上昇等を伴う肝機能障害、黄疸、肝不全があらわれることがある〔9.3肝機能障害患者の項参照〕。
11.1.18.〈クラリスロマイシン〉血小板減少、汎血球減少、溶血性貧血、白血球減少、無顆粒球症(いずれも頻度不明)〔8.5参照〕。
11.1.19.〈クラリスロマイシン〉中毒性表皮壊死融解症(ToxicEpidermalNecrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明):異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.20.〈クラリスロマイシン〉PIE症候群・間質性肺炎(いずれも頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.21.〈クラリスロマイシン〉偽膜性大腸炎、出血性大腸炎(いずれも頻度不明):偽膜性大腸炎、出血性大腸炎等の重篤な大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.22.〈クラリスロマイシン〉横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇があらわれることがある(横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること)。
11.1.23.〈クラリスロマイシン〉痙攣(頻度不明):痙攣(強直間代性痙攣、ミオクロヌス、意識消失発作等)があらわれることがある。
11.1.24.〈クラリスロマイシン〉急性腎障害、尿細管間質性腎炎(いずれも頻度不明):乏尿等の症状や血中クレアチニン値上昇等の腎機能低下所見が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.25.〈クラリスロマイシン〉IgA血管炎(頻度不明)。
11.1.26.〈クラリスロマイシン〉薬剤性過敏症症候群(頻度不明):初期症状として発疹、発熱がみられ、さらに肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある(投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること)。
11.2.その他の副作用
1).〈胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症〉
①.〈胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症〉消化器:(5%以上)下痢(10.6%)、(0.1~5%未満)味覚異常、口内炎、腹部不快感、腹部膨満感。
②.〈胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症〉過敏症:(0.1~5%未満)発疹。
③.〈胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症〉肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇。
頻度表示は胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるボノプラザンフマル酸塩、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤投与の試験成績に基づく。
ボノプラザンフマル酸塩、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンでは、他にもそれぞれに次の副作用が認められている。
2).〈ボノプラザンフマル酸塩〉
①.〈ボノプラザンフマル酸塩〉消化器:(0.1~5%未満)便秘、下痢、腹部膨満感、悪心。
②.〈ボノプラザンフマル酸塩〉過敏症:(0.1~5%未満)発疹。
③.〈ボノプラザンフマル酸塩〉肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、AL-P上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇。
④.〈ボノプラザンフマル酸塩〉その他:(0.1~5%未満)浮腫、好酸球増多。
3).〈アモキシシリン水和物〉
①.〈アモキシシリン水和物〉過敏症:(0.1~5%未満*)発熱、発疹、じん麻疹、(頻度不明*)そう痒。
②.〈アモキシシリン水和物〉血液:(0.1%未満*)好酸球増多、貧血。
③.〈アモキシシリン水和物〉肝臓:(0.1%未満*)AST上昇、ALT上昇。
④.〈アモキシシリン水和物〉消化器:(0.1~5%未満*)下痢、悪心、食欲不振、(頻度不明*)黒毛舌。
⑤.〈アモキシシリン水和物〉菌交代症:(0.1%未満*)口内炎、大腸炎(カンジダ、非感受性のクレブシエラ等による)。
⑥.〈アモキシシリン水和物〉ビタミン欠乏症:(0.1%未満*)ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)。
⑦.〈アモキシシリン水和物〉その他:(頻度不明*)梅毒患者の場合;ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応(発熱、全身倦怠感、頭痛等の発現、病変部悪化)。
*)頻度表示はアモキシシリン水和物の承認時までの臨床試験又は製造販売後調査の結果に基づく。
4).〈クラリスロマイシン〉
①.〈クラリスロマイシン〉過敏症:(0.1~5%未満)発疹、(0.1%未満)そう痒感。
②.〈クラリスロマイシン〉精神神経系:(0.1%未満)めまい、頭痛、(頻度不明)幻覚、失見当識、意識障害、せん妄、躁病、眠気、振戦、しびれ(しびれ感)、錯感覚、不眠。
③.〈クラリスロマイシン〉感覚器:(0.1%未満)味覚異常(にがみ等)、(頻度不明)耳鳴、聴力低下、嗅覚異常。
④.〈クラリスロマイシン〉消化器:(0.1~5%未満)悪心、嘔吐、胃部不快感、腹部膨満感、腹痛、下痢、(0.1%未満)食欲不振、軟便、口内炎、舌炎、口渇、(頻度不明)口腔内びらん、胸やけ、歯牙変色、舌変色。
⑤.〈クラリスロマイシン〉血液:(0.1~5%未満)好酸球増多。
⑥.〈クラリスロマイシン〉肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇、AL-P上昇。
⑦.〈クラリスロマイシン〉筋・骨格:(頻度不明)筋肉痛。
⑧.〈クラリスロマイシン〉その他:(0.1%未満)倦怠感、浮腫、カンジダ症、発熱、(頻度不明)動悸、CK上昇、脱毛、頻尿、低血糖。

相互作用; 副作用; 適用上の注意; その他の注意; 薬物動態; 臨床成績; 薬効薬理 ..

胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫・特発性血小板減少性紫斑病・早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1.進行期胃MALTリンパ腫に対するヘリコバクター・ピロリ除菌治療の有効性は確立していない。
5.2.特発性血小板減少性紫斑病に対しては、ガイドライン等を参照し、ヘリコバクター・ピロリ除菌治療が適切と判断される症例にのみ除菌治療を行うこと。
5.3.早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃以外には、ヘリコバクター・ピロリ除菌治療による胃癌の発症抑制に対する有効性は確立していない。
5.4.ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に用いる際には、ヘリコバクター・ピロリが陽性であることを確認及び内視鏡検査によりヘリコバクター・ピロリ感染胃炎であることを確認すること。

パリタプレビル・リトナビルを投与中の患者(「相互作用」の項参照)

相互作用 ································· 23