気管支喘息、喘息性気管支炎(小児喘息性気管支炎を含む)、薬剤その他の


解説: ステロイド薬の投与による入院回避や入院期間減少の効果は認められなかった。一方でステロイド薬投与によってみられた酸素飽和濃度や重症度スコアの改善は一時的だった。その他、呼吸数、心拍数、QOL有害事象についてはプラセボ群と比較して有意な差はなかった。ウイルス感染によって乳幼児に初回喘鳴を認めた場合に、治療薬としてステロイド薬を投与しないことを提案する、しかし、喘鳴を繰り返し、その喘鳴がβ2刺激薬で改善する場合には、診断的治療として吸入ステロイド薬を含めた長期管理薬を使用して乳幼児喘息を鑑別する。


喘息発作に対するステロイド薬の全身投与は有効であり,中発作以上の発作で β2 刺激

解説: 小児のウイルス感染による喘鳴にLTRAを使用することで、経口ステロイド薬の使用、救急外来や入院回数などを減らす効果は認められなかった。一部の項目(症状スコア、医療機関への予定外受診、1日あたりの気管支拡張薬の使用頻度)において統計学的に有意差のある有効性が認められたが、臨床的な有用性を示すほどの差ではなかった。

推奨: 小児のウイルス感染による喘鳴の治療としてLTRAを投与しないことが提案される。

らびに小児喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎・花粉症、アレルギー性結膜炎・春季カタル、

解説: 現時点では、入院患者全霊にたいして全身性ステロイド薬投与を推奨する強い根拠は存在していない。しかし、急性増悪(発作)の際の症状改善に効果が認められており、発作強度や症状改善の程度を評価し、漫然と投与することなく必要十分な期間において全身性ステロイドを使用することが提案される。

解説: 欧米の報告ではスペーサーを用いたほうが入院リスクを低下させ、救急外来での滞在時間も有意に短く、有害事象として脈拍数の増加率や振戦の頻度も有意に低い結果となった。しかし、日本で使用されているプロカテロール(メプチン)による報告はなく、SABAの用量が日本の小児常用量を超えている、スペーサーの強要による感染リスクが評価されていないなどの点に留意する必要がある。したがって、現時点では優劣をつけがたく、いずれの吸入方法も提案される。

性気管支炎(小児喘息性気管支炎を含む)[※筋肉内注射、ネブライザー]

解説: 介入によって、吸入ステロイド薬の使用減少、ピークフローの改善に有意な効果が見られた。一方で、主観的な症状、喘息症状スコア、1秒率、気道過敏性、呼気中一酸化質素濃度(FeNO)では有意な差は見られなかった。我が国では欧米と比較して室内ダニ抗原量が多いと報告されており、欧米の試験とは異なる結果をもたらす可能性がある。我が国の試験では、物理的介入によって抗原量減少と喘息症状スコアの改善がもたらされている。

推奨: ICSで長期管理中の小児喘息患者のステップアップとして、ICS増量とICSへのLAB追加(ICS/LABA)の有用性に明らかな差はなく、いずれも提案される。

小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017(インターネットでは閲覧不可) ..

解説: LTRAの追加は全身性ステロイド薬や入院を要する急性増悪(発作)の回数を減少させず、呼吸機能検査でも%FEV1を改善させなかった。我が国では、特に低年齢児あるいは低用量ICS投与例に対してLTRAは広く一般臨床で用いられ、その有用性を経験している。また、LABAへの反応性が低い遺伝子タイプを有する症例では、ICSの追加治療としてのLTRA使用がQOLを改善させたと報告されている。

推奨: ICSで長期管理中の小児喘息患者においてLTRAの追加治療が提案される。


[PDF] デキサメタゾン COVID-19 小児患者に対する治療薬としての位置付け

解説: 治療期間が1年の場合ICSはプラセボと比較して0.48cm/年の成長抑制が認められた。2年目以降の成長抑制は両群間で有意差がないか、あってもその差は小さかった。また、成人期までフォローした1試験ではICS使用群で、男は0.8cmの成長抑制で有意差はなく、女は1.8cmの成長抑制で有意差あり、男女平均では1.2cmの有意な成長抑制が認められた。現時点では、ICSは長期使用によって成長抑制を来す可能性があるが、小児喘息治療において最も有用な薬剤である。適切な診断と評価を行い、リスクとベネフィットを十分に考慮して、適切なICS投与を心がけることが推奨される。

参考:アミノフィリン点滴静注(痙攣疾患を合併している児や乳児では推奨しない)

本試験の目的は、小児患者における軽度から中等度の喘息増悪に対するデキサメタゾン単回投与とデキサメタゾン2回投与の有効性を比較することであった。喘息症状の継続を理由に救急部(ED)、緊急医療機関、プライマリーケア医への再診率に差はないと予想した。本試験は、軽度から中等度の喘息増悪で小児救急部を受診した2歳から20歳の患者を対象とした前向き、無作為、単施設、非盲検、並行群間無作為化臨床試験であった。患者はデキサメタゾン(1回0.6 mg/kg,最大16 mg)を1回または2回投与される群に無作為に割り付けられた。ED受診後6日目に電話によるフォローアップ面接を行った。主要アウトカム指標は,喘息症状の継続によるプライマリケア医または救急外来への再受診であった.副次的評価項目は,症状発現日数,欠席日数,副作用であった。当初登録された318名のうち,308名が登録基準を満たした。再診率(第1群12.1%、第2群10.3%、オッズ比[OR]0.892[95%信頼区間、0.377-2.110])、症状消失までの日数(第1群2.4、第2群2.5、OR0.974[95%95%CI、0.838-1.132])、学校訪問日数の損失(第1群47%、第2群51%、OR、1.114[95%CI])に関して群間で有意差はなかった。114 [95% CI, 0.613-2.023] )、または嘔吐(第1群8.6%; 第2群3.4%; OR, 2.424 [95% CI, 0.637-9.228] )。軽度から中等度の急性増悪した喘息の子供と青年のこの単施設非盲検無作為試験では、デキサメタゾン1または2用量に無作為化した患者の間で症状の継続または悪化による再診率の差はなかった。

医療用医薬品 : デキサート (デキサート注射液1.65mg 他)

効果なく症状持続し中発作症状を呈する場合や、症状悪化がある場合には経口ステロイド薬(プレドニゾロン15~30mg相当)を内服の上で救急外来を受診する(お近くの救急外来を受診下さい)。

デキサメタゾンエリキシル0.01%「日新」の薬剤情報・副作用

喘息発作では、まずバイタルサインをチェックし、病歴を聴取する。発作の時間と増悪原因、普段の服薬内容と発作後の服薬状況、ステロイド使用の有無、発作による入院歴や救急外来受診歴、挿管の既往、心疾患や肺疾患の有無、アスピリン喘息や薬物アレルギーの有無など。胸部聴診を行ない感染が疑われる場合は胸部レントゲン撮影や喀痰細菌検査を行う。可能であれば採血にて好酸球数、好中球数、CRPなどを確認する。心不全、気胸、肺血栓症、細菌性肺炎、誤嚥性肺炎などの鑑別を行う。

エピネフリン/デキサメタゾン併用は細気管支炎の入院リスクを減らす

推奨: ダニに感作された小児喘息患者に、ダニアレルゲン特異的免疫療法を標準治療とすることが提案される。ただし、現時点では舌下免疫療法は喘息への保険適応がない。