ボルテゾミブは,これまでに 1~3 回治療を受けたことのある多発性骨髄腫患者の再発治療において,高用量デキサメタゾンよりも優れている.
第 3 相試験で,再発性多発性骨髄腫または再発・難治性多発性骨髄腫の患者 498 例を,ボルテゾミブ(1.3 mg/m2 体表面積)+デキサメタゾン(20 mg)のみを投与する群(対照群)と,この 2 剤にダラツムマブ(16 mg/kg 体重)を併用する群(ダラツムマブ群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は無増悪生存期間とした.
PBd(PVd) | ポマリドミド、ボルテゾミブ、デキサメタゾン
CD38 を標的とするヒト IgGκ モノクローナル抗体でありるダラツムマブ(daratumumab)は,直接的・間接的な抗骨髄腫活性を誘発する.単剤では多種類の前治療歴のある多発性骨髄腫患者に対して高い有効性を示し,ボルテゾミブとの併用では,新規に多発性骨髄腫と診断された患者に対して高い有効性を示す.
事前に規定した中間解析の結果,無増悪生存率はダラツムマブ群のほうが対照群よりも有意に高く,12 ヵ月無増悪生存率はダラツムマブ群で 60.7%であったのに対し,対照群では 26.9%であった.追跡期間中央値 7.4 ヵ月の時点における無増悪生存期間中央値は,ダラツムマブ群では未到達であったのに対し,対照群では 7.2 ヵ月であった(ダラツムマブ群の対照群に対する増悪または死亡のハザード比 0.39,95%信頼区間 0.28~0.53,P<0.001).全奏効率はダラツムマブ群のほうが対照群よりも高く(82.9% 対 63.2%,P<0.001),最良部分奏効(VGPR)以上が認められた患者の割合も(59.2% 対 29.1%,P<0.001),完全奏効(CR)以上が認められた患者の割合も(19.2% 対 9.0%,P=0.001)同様であった.ダラツムマブ群と対照群でとくに頻度の高かったグレード 3 または 4 の有害事象は,血小板減少(それぞれ 45.3%,32.9%),貧血(14.4%,16.0%),好中球減少(12.8%,4.2%)の 3 つであった.ダラツムマブ投与例では注入に伴う反応が 45.3%に認められたが,その多くはグレード 1 または 2 であり(グレード 3 は患者の 8.6%),98.2%は初回注入時に発生した.
PBd(PVd) ポマリドミド、ボルテゾミブ、デキサメタゾンのレジメンページ。本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません
ボルテゾミブは,これまでに 1~3 回治療を受けたことのある多発性骨髄腫患者の再発治療において,高用量デキサメタゾンよりも優れている.
新たに診断された(初発)多発性骨髄腫(NDMM)患者において、導入療法として用いたレナリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(RVd)単独群に比べて、RVdに自家造血幹細胞移植(ASCT)を併用した治療群が無増悪生存期間(PFS)において有意に優れていたことが米国で行なわれた第Ⅲ相試験DETERMINATIONで報告された。
[PDF] ベネトクラクス+ボルテゾミブ+デキサメタゾンの成績(BELLINI)
2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にて治療歴のある多発性骨髄腫患者に対する経口選択的核外輸送(SINE)タンパク阻害薬であるSelinexorとプロテアソーム阻害薬であるボルテゾミブとデキサメタゾンの3剤併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のBOSTON試験()の結果がNational and Kapodistrian UniversityのMeletios A. Dimopoulos氏らにより公表された。
ボルテゾミブで治療を受けた患者は,デキサメタゾンで治療を受けた患者よりも奏効率が高く,進行までの時間(主要エンドポイント)や生存期間も長かった.完全奏効率と部分奏効率を合せた割合は,ボルテゾミブ群で 38%,デキサメタゾン群で 18%(P<0.001),完全奏効率は,ボルテゾミブ群で 6%,デキサメタゾン群で 1%未満であった(P<0.001).進行までの時間の中央値は,ボルテゾミブ群で 6.22 ヵ月(189 日),デキサメタゾン群で 3.49 ヵ月(106 日)であった(ハザード比 0.55,P<0.001).1 年生存率は,ボルテゾミブ群で 80%,デキサメタゾン群で 66%であり(P=0.003),ボルテゾミブの全生存率に対するハザード比は 0.57 であった(P=0.001).グレード 3 または 4 の有害事象は,ボルテゾミブで治療を受けた患者の 75%と,デキサメタゾンで治療を受けた患者の 60%で報告された.
再発難治性多発性骨髄腫に対するベネトクラクス+ボルテゾミブ+デキサメタゾン療法(VBd 療法)
BOSTON試験とは、前治療歴1~3レジメンのある再発難治性多発性骨髄腫患者(N=402人)を対象に35日を1サイクルとして1,8,15,22,29日目にSelinexor100mg+1,8,15,22日目にボルテゾミブ1.3mg/m2+1,2,8,9,15,16,22,23,29,30日目にデキサメタゾン20mg併用療法を投与する群(N=195人,SVd)と、21日を1サイクルとして1,4,8,11日目にボルテゾミブ1.3mg/m2+1,2,4,5,8,9,11,12日目にデキサメタゾン20mg併用療法を8サイクル投与し、9サイクル目以降は35日を1サイクルとして1,8,15,22日目にボルテゾミブ1.3mg/m2+1,2,8,9,15,16,22,23,29,30日目にデキサメタゾン20mg併用療法を投与する群(N=207人,Vd)を1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)などを比較検証した国際多施設共同無作為化第3相試験である。
多発性骨髄腫の標準治療薬であるボルテゾミブは抗腫瘍効果が高いものの、その副作用の末梢神経障害により約50~60%の患者が長期治療を途中で離脱している。一方、第1/2相試験ではプロテアソーム阻害薬による治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対してSelinexor+ボルテゾミブ+デキサメタゾン併用療法で忍容性、抗腫瘍効果が確認された背景があり、この3剤の併用療法の有用性を検証する目的でBOSTON試験が開始された。
ポマリドミド製剤とボルテゾミブ製剤、デキサメタゾン製剤の 3 剤併用療法の安全性と
BOSTON試験の結果よりMeletios A. Dimopoulos氏らは「治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対するSelinexor+ボルテゾミブ+デキサメタゾン併用療法は無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)を統計学有意に改善し、週1回のボルテゾミブの用量設定により末梢神経障害発症率も減少させることができました」と結論を述べている。
メルファラン+デキサメタゾン療法や,サリドマイド,レナリドミド,ボルテゾミブ等の新規薬剤とデキサメタゾン併用療法が試みられる。 2B
再発多発性骨髄腫患者でこれまでに 1~3 回治療を受けたことのある患者を対象に,ボルテゾミブ(bortezomib)と高用量デキサメタゾンを比較した.
[PDF] 多発性骨髄腫における薬物療法の進歩とボルテゾミブの役割
※皮膚がん、骨軟部腫瘍、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など「がん種別」にない場合は「部位別」から検索してください。
1 レジメン以上の治療歴のある高齢者再発・難治性多発性骨髄腫に対し,ボルテゾミブ 1.3 mg/m2
※皮膚がん、骨軟部腫瘍、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など「がん種別」にない場合は「部位別」から検索してください。