マシテンタン(エンドセリン受容体拮抗薬)<フィルムコーティング錠


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マシテンタンとタダラフィルの配合剤を申請 ヤンセン、PAHの適応で

Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は2024年11月20日、肺動脈性肺高血圧症治療薬として、エンドセリン受容体拮抗薬マシテンタン10mgとホスホジエステラーゼ5阻害薬タダラフィル40mgとの配合薬「ユバンシ配合錠」を発売した。

マシテンタン/タダラフィルは、国際共同第III相ピボタル試験(A DUE試験)の結果に基づき、9月24日に肺動脈性肺高血圧症を効能または効果として国内の製造販売承認を取得した、1日1回服用の配合錠である。

現在、肺動脈性肺高血圧症の治療については、欧州心臓病学会(ESC)および欧州呼吸器学会(ERS)による肺高血圧症治療ガイドライン2022において、エンドセリン受容体拮抗薬とホスホジエステラーゼ5阻害薬の併用療法が推奨されている。本薬剤は有効性・安全性プロファイルが示されているマシテンタンおよびタダラフィルの2つを配合錠にすることで、疾患管理の最適化や患者の服薬時の負担軽減などを期待できる可能性がある。

<製品概要>
商品名:ユバンシ配合錠
一般名:マシテンタン/タダラフィル
剤形:フィルムコーティング錠
効能又は効果:肺動脈性肺高血圧症
用法及び用量:通常、成人には1日1回1錠(マシテンタンとして10mg及びタダラフィルとして40mg)を経口投与する。
薬価:1万3,334.90円/錠
製造基準収載日:2024年11月20日
製造販売元:ヤンセンファーマ株式会社
販売提携先:日本新薬株式会社

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ヤンセンファーマ株式会社の取締役 研究開発本部 本部長のアマナス・シャーマ氏は「肺動脈性肺高血圧症の治療では、症状をコントロールするために、作用機序の異なる複数の治療薬を併用することがあります。2つの治療薬を配合剤とすることで、PAHの患者さんに新たな治療選択肢を提供するだけでなく、服薬の負担軽減という患者さんのニーズに応え、患者さんの治療や生活に新たな変化をもたらすことが期待できます」と述べています。

今回の申請は、日本および海外で実施された第III相A DUE試験の結果に基づくものです。同試験は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者さんを対象に、マシテンタンとタダラフィル配合剤の有効性と安全性をマシテンタンとタダラフィル各単剤療法と比較しました。同配合剤は1日1回経口投与の薬剤です。

肺動脈性肺高血圧症に初の1日1回型配合薬 | Medical Tribune

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肺高血圧症は、心臓から肺へ血液を送る血管である肺動脈の血圧が高くなる疾患であり、そのうちの1つが肺動脈性肺高血圧症(PAH)す。肺動脈圧が高くなる原因は、肺の細い動脈(肺小動脈)の内側の空間(内腔)が狭くなり、心臓から肺に送られる血液が流れにくくなるためです。肺小動脈の内腔が狭くなる原因は十分に解明されていませんが、免疫の異常や遺伝的な要因、その他何らかの環境因子が関与していることがわかっています。

「マシテンタン・タダラフィル錠」の薬価比較一覧です。先発薬・後発薬、メーカー・剤形による違いを見比べて薬価差を把握することができます.

ヤンセンファーマ株式会社は10月23日、エンドセリン受容体拮抗薬「マシテンタン10mg」とホスホジエステラーゼ5阻害薬「タダラフィル40mg」との固定用量配合剤について、成人の肺動脈性肺高血圧症(PAH)を効能または効果として、製造販売承認を申請したと発表しました。

- 説明文書・同意書に署名・日付を記入した患者

- WHO FCI II 又はIII の症候性PAH と確定診断されている患者

- WHO PH 臨床分類第1 群の以下のサブグループに該当する症候性PAH [Simonneau 2013]
・特発性
・遺伝性
・薬物又は毒物誘発性
・以下の疾患に伴うもの
− 結合組織病
− HIV 感染症
− 門脈圧亢進症
− 外科的手術実施から1 年以上経過後の右心カテーテル検査(RHC)により肺高血圧症の持続が確認されている単純先天性体循環-肺循環短絡を伴う先天性心疾患(心房中隔欠損症,心室中隔欠損症,動脈管開存症)

- 無作為割付け前5週間以内に実施された安静時血行動態評価(中央判定)によりPAH の確定診断がされている患者

・平均肺動脈圧(mPAP)が25 mmHg 以上,及び
・肺毛細血管楔入圧(PAWP)又は左室拡張末期圧(LVEDP)が15 mmHg 以下,及び
・肺血管抵抗(PVR)が3 Wood Unit 以上(240 dyn・sec・cm−5 以上)
・特発性,遺伝性,又は薬物/毒物誘発性PAH に対し肺血管反応性試験が陰性の患者(診断時に血管反応性試験を実施していない患者は,現在,PAH 療法を3 ヵ月を超えて受けており,PAH療法の導入から3 ヵ月以上経過後に血行動態評価によってPAH の診断が確定されている場合,参加可能である)。
・ ベースライン時のRHC 実施3 ヵ月前から,プロトコルに規定している用量のERA 又はPDE-5iによる単剤治療を受けている患者、又はPAH 治療薬の投与歴がない患者
・ スクリーニング時の6MWT で100-450 m 歩行可能な患者

- 妊娠する可能性のある女性で以下に該当する患者
・スクリーニング時の血清妊娠検査で陰性,かつ無作為割付け時に尿中妊娠検査で陰性
・治験期間中は月1 回,治験薬投与中止時は投与中止後30 日までに,尿中妊娠検査を受けることに同意
・スクリーニングから少なくとも治験薬投与中止後30 日まで治験で定めた避妊手順に従うことに同意


効能・効果肺動脈性肺高血圧症用法・用量通常、成人には1日1回タダラフィルとして40mgを経口投与する。

重度の肝障害患者
重度の腎障害患者
本剤及び本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者
重度の低血圧の患者

[PDF] エンドセリン受容体拮抗薬/ホスホジエステラーゼ5阻害剤

マシテンタンはエンドセリン(ET)A及びETB受容体に対して拮抗作用を示し、125I‐ET‐1結合に対するIC50値(平均値±標準誤差)はそれぞれ0.49±0.07nM及び391±49nMであった。活性代謝物もマシテンタンと同様の拮抗作用を示し、そのIC50値はそれぞれ3.4±0.20nM及び987±92nMであった。
タダラフィルは、肺血管系における主要なcGMP分解酵素であるPDE5を選択的に阻害し、cGMP濃度を増加させることで、肺血管平滑筋の弛緩及び肺血管の拡張を誘導する。

代表的なPDE5阻害薬は以下のようなものです。 薬剤名, 投与頻度

(1) 治験薬投与開始3 ヵ月前から可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤,L-アルギニン,プロスタノイド製剤(剤型は問わず),又はプロスタサイクリン受容体作動薬(経口,吸入,又は点滴)による治療を受けた患者
(2) 治験薬投与開始3 ヵ月前からERA とPDE-5i の併用を行っている患者,又はERA とPDE-5iの併用療法に忍容性がないことが判明している患者
(3) 治験薬又は治験薬の添加物に過敏症を有する患者
(4) 治験薬投与1 ヵ月前から強力なチトクロムP450(CYP)3A4 誘導薬による治療を行っている患者
(5) 治験薬投与1 ヵ月前から強力なCYP3A4 阻害薬又はCYP3A4 及びCYP2C9 の両方に対する中程度の阻害薬又は中程度のCYP3A4 阻害薬と中程度のCYP2C9 阻害薬の併用による治療を行っている患者
(6) ドキサゾシンを投与している患者
(7) 持続投与又は間欠投与で有機硝酸剤による治療を行っている患者
(8) RHC 前又は治験薬投与開始前1 週間以内に利尿薬による治療を開始,もしくは用量を変更した患者
(9) 治験薬投与開始前3 ヵ月間以内に他の治験薬を投与した患者
(10) スクリーニング時のボディマス指数(BMI)が>40 kg/m2 の患者
(11) スクリーニング時に駆出率は維持されているが,心不全の以下のリスク因子が3 つ以上存在することが判明している患者
・ BMI >30 kg/m2
・糖尿病(タイプ不問)
・本態性高血圧症(コントロール良・不良は問わない)
・以下のうちのいずれかの冠動脈疾患:
− 安定狭心症の既往
− 冠動脈に50%以上の狭窄があることが判明している
− 心筋梗塞の既往
− 冠動脈バイパス手術及び/又は冠動脈ステント留置術の既往がある,又は実施が予定されている
(12) スクリーニング前のいずれかの時点で中等度又は重度の閉塞性肺疾患であることが判明している患者
(13) スクリーニング前のいずれかの時点で中等度又は重度の拘束性肺疾患であることが判明している患者
(14) 治験担当医師の判断により,臨床的に重大な大動脈弁疾患又は僧帽弁疾患,収縮性心膜炎,拘束型又はうっ血性左室心筋症,致死的不整脈,重大な左心機能障害あるいは左室流出路閉塞を有する患者
(15) 治験担当医師の判断により,永続性心房細動であることが判明している患者
(16) コントロール不良の甲状腺疾患(甲状腺機能低下症,甲状腺機能亢進症)が判明している,又は甲状腺疾患が疑われる患者
(17) 肺静脈閉塞症であることが判明している患者
(18) スクリーニング時のヘモグロビン(Hb)が100 g/L(
(19) 治験担当医師によりプロトコルに規定された軽度~重度の肝障害と判断された患者
(20) スクリーニング時に血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及び/又は血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が基準値上限の1.5 倍を超えている患者
(21) スクリーニング時にプロトコルに規定された軽度~重度の腎障害を有する患者
(22) スクリーニング時又は無作為化時にプロトコルに規定された全身性低血圧を認めた患者
(24) スクリーニング前26 週間以内に急性心筋梗塞又は脳血管イベント(脳卒中など)を発症した患者
(25) 治験担当医師の判断により,出血性障害である患者
(26) 非動脈炎性前部虚血性視神経症のために片眼又は両眼を失明している患者
(27) 網膜色素変性症を含む遺伝性網膜変性症患者
(29) 大型錠剤を嚥下するのが困難なため,治験薬投与計画を遵守できないと考えられる患者
(30) 二重盲検投与期間に臓器移植を含む外科的処置が予定されている患者;軽微な処置は除く
(31) 治験薬投与開始前12 週間以内に心肺リハビリテーションのための運動トレーニングプログラムを受けた患者,又は治験期間中に開始する予定の患者
(32) 妊娠中,授乳中,又は妊娠を予定している患者
(33) 治療アドヒアランス,治験評価,治験実施,又は治験担当医師によって判定される結果の解釈を妨害する可能性がある因子又は疾患(薬物依存症又はアルコール依存症,精神疾患,歩行器の使用など)を有することが判明している患者
(34)余命12ヶ月未満の致死的疾患を併発していることが判明している患者
(35)スクリーニング時のRHC前3カ月以内にカルシウム拮抗薬の投与を開始した又は用量を変更した患者