レクサプロを服用される方へ · 2017.06.27 女性とうつについて · 2017.06.25 院内処方 ..


④エスシタロプラム(レクサプロ):
セロトニンに対する選択性が高い。
脳内移行が強い→末梢性の副作用が少ない。
「アロステリック作用」により、作用部位であるセロトニン・トランスポーターに長時間結合(結合半減期130時間)→効果が強く持続し、離脱症状が出にくい。
初回投与量のまま増量不要。
女性に対する有効率がセルトラリンに次いで高いとのデータがあります。
ヨーロッパではうつ病以外に全ての不安障害の適応(スウェーデンでは月経前不快気分障害(PMDD)にも適応)となっています。


ルネスタは安全性が高く非常に効きますが、目が覚めるときに口の中が苦い ..

ほかに、アメリカでは依存性の副作用の少なさから睡眠薬で初めて処方日数制限なしの承認が認められ、日本でも同様に処方制限はされていません。

これらの薬を飲み合わせても特に問題はありません。ただし、心療内科のお薬も、花粉症のお薬も、眠気を引き起こすことが多いため、眠気の増強には注意が必要です。

X年頃デプロメール・レクサプロ(抗うつ薬)を内服されましたが合わなかったと ..

<薬物療法の実際>
うつ病の治療指針は絶対的なものではないので「アルゴリズム」と呼び、「ガイドライン」とは区別していました。
「アルゴリズム」には「問題解決のための段階的手法」という語義があります。
「アルゴリズム」における「うつ病」とはDSMの診断基準における「大うつ病」をさしており、そこでは「病因論」が排除されています。すなわち、「うつ病」とは「治療を要するうつ状態」という意味であり、一つの病気ではなく「うつ状態を呈する症候群」であって原因はまちまちです(うつ病の異種性)。うつ病にはいろんな種類や併存症があり、精神科の臨床にガイドラインやクリニカル・パスといったものがなじみにくい要因がそこにあると思われます。現在はうつ病の「治療ガイドライン」が国内外にいくつかありますが、それらのどれをとっても「うつ病の異種性や併存症の有無」を考慮されたものではありません。「うつ病の異種性や併存症の有無」を考慮した治療により、うつ病の難治性、再燃・再発といった問題はかなり解決すると考え、当院では「うつ病の異種性や併存症の有無」を考慮した治療を心がけています。
うつ病は、早期(6か月以内)に治療しないと治りにくくなると言われていますので、患者の予後を考えると、有効な薬剤を最初に選択し、十分量・十分期間投与する事が肝要です。
薬物選択の「アルゴリズム」や「ガイドライン」は、プライマリケア医に標準的な薬物療法を示唆するという点では有用ですが、「うつ病の異種性や併存症の有無」を考慮されたものではありません。従って、有効な薬剤を最初に選択する為には、画一的に「アルゴリズム」や「ガイドライン」を適用するのではなく、どのようなタイプのうつ病なのかを初診時に見極める事が大切です。
多くの抗うつ薬の用量は、日本では海外よりもかなり少量で認可されています。最大量で4~8週間は投与しないと効果の有無は判断できません。寛解後(完全に治った後)6カ月以上は急性期と同用量で治療継続しないと、うつ病がぶり返す恐れがあります。

<私の処方例>
うつ病の初期治療においては、まず身体疾患を除外した上で、「うつ病の異種性や併存症の有無」に留意して最初の治療薬を選択する事が妥当かと思います。

心療内科のお薬には、主に「抗不安薬」(デパス、セルシン、ワイパックスなど)、「睡眠薬」(マイスリー、ルネスタ、ロヒプノールなど)、「抗うつ薬」(パキシル、デプロメール、レクサプロ、サインバルタなど)、「気分安定薬」(リーマス、デパケンなど)、「抗精神病薬」(リスパダール、セレネース、ジプレキサ、セロクエルなど)などがあります。

X頃~コンサータ、クエチアピン(抗精神病薬)、ルネスタ(睡眠薬)を内服されています。

2.精神病症状を伴う→抗精神病薬を併用。

3.重症で休職を要する→ノルアドレナリンにも作用する薬剤でないと寛解しにくいとも言われている為、SNRI、ミルタザピン、ボルチオキセチンを単剤または併用。

4.不安障害を背景にもつ→不安障害も治療する必要がある為、まずはSSRIを主剤とし、抗うつ効果が不十分ならミルタザピンまたはミルナシプラン(中高年男性では尿閉に注意)を追加。または最初からベンラファキシン、ボルチオキセチン単剤。
(1)若年男性→性機能障害の少ないエスシタロプラム、またはフルボキサミン(併用薬剤に注意)を主剤。
(2)若年女性→若年女性に有効率の高いセルトラリンを主剤。
(3)(1)または(2)で不安障害に対する効果が不十分→パロキセチンに変更。

5.非定型うつ病→セルトラリンを主剤(Stephen M.Stahl)とし、抗うつ効果不十分ならミルタザピンを併用、気分の波、怒り発作、不安抑うつ発作にはバルプロ酸200~400mg、鉛様の麻痺にはブロナンセリン2mgを併用。

6.老人→老人のうつに多い不眠、食欲低下、不安、焦燥に有効で、投与初期の副作用である眠気等が老人では出にくいミルタザピンを主剤。妄想や認知機能の改善を期待する場合にはフルボキサミンを単剤または併用。

7.上記以外の中等症のうつ病→ノルアドレナリンにも作用する薬剤でないと寛解しにくいとも言われている為、SNRI、ミルタザピンを単剤または併用。
1.~3.は精神科での治療が必要ですが、4.~7.はプライマリケアでも治療可能と思われます。

今年は例年にくらべて花粉の飛散量が多く、花粉症のお薬を服用しておられる方も多くみえます。そこで最近はよく「飲み合わせ」についてのご質問をいただくのですが、花粉症のお薬と心療内科のお薬を併用しても、基本的には問題となることはありません。

[PDF] 睡眠薬や抗不安薬を飲んでいる方に ご注意いただきたいこと