1分で読める!歯科医のための「感染性心内膜炎」の抗菌薬予防投与


青カビから分離された天然抗生物質です。スペクトラムは狭域ですが、レンサ球菌・髄膜炎菌への強力な活性を持つ「切れ味のよい」抗菌薬と言えるでしょう。半減期が短いため、4時間ごとの点滴もしくは24時間持続点滴で投与(腎機能正常の場合)します。


【感染症内科医監修】ペニシリン系抗生物質の一覧解説<早見表つき


【用法・用量】
〈ヘリコバクター・ピロリ感染を除く感染症〉
成人:アモキシシリン水和物として、通常 1 回 250 mg(力価)を 1 日 3~4 回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
〈ヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎〉
・アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン及びプロトンポンプインヒビター併用の場合
通常、成人にはアモキシシリン水和物として 1 回 750 mg(力価)、クラリスロマイシンとして 1 回 200 mg(力価)及びプロトンポンプインヒビターの 3 剤を同時に 1 日 2 回、7 日間経口投与する。なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1 回 400 mg(力価)1 日 2 回を上限とする。
・アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン及びプロトンポンプインヒビター併用によるヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功の場合
通常、成人にはアモキシシリン水和物として 1 回 750 mg(力価)、メトロニダゾールとして 1 回 250 mg 及びプロトンポンプインヒビターの 3 剤を同時に 1 日 2 回、7 日間経口投与する。

レンサ球菌:溶血レンサ球菌による皮膚軟部組織感染症(壊死性筋膜炎であればクリンダマイシンの併用を検討)や緑色レンサ球菌による感染性心内膜炎の第一選択
髄膜炎菌:髄膜炎菌性髄膜炎の第一選択
感受性のある肺炎球菌での第一選択:最近ではペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP:penicillin-resistant )が増えている
梅毒・レプトスピラなどのスピロヘータ属の第一選択
クロストリジウム属(など)や口腔内嫌気性菌の大部分(など)
その他さまざまな微生物に活性がある:ジフテリア()・炭疽菌 ()・放線菌のアクチノミセス()など
× 黄色ブドウ球菌・大腸菌はペニシリナーゼを産生するため耐性であることが多い
× 横隔膜下の嫌気性菌には無効

[PDF] 歯周病患者における抗菌薬適正使用のガイドライン 2020

中枢神経毒性
ペニシリンGの直接的な脳に対する毒性によるとされています。腎機能低下時に高用量で使用した場合にけいれんを誘発することもあります。

欧米では経口吸収率のよいpenicilin Vが使用できるが、本邦では使用できません。
ペニシリンGの内服薬(バイシリン)をどうしても使用したい場合(例:GAS咽頭炎疑いだが伝染性単核球症がどうしても除外できずアモキシシリンを使いづらい場合)は、胃酸の影響を受けにくい空腹時の投与を検討しましょう。

1 回 150mg(力価)を 6 時間毎または重症時は 1 回 300mg を 8 時間毎に投与する.AMPC(商

ペニシリンGから安定性向上を目指して作られた合成ペニシリンです。
腸球菌のやリステリアへの抗菌活性も持っています。感受性があれば、大腸菌などの腸内細菌科やインフルエンザ桿菌にも有効です。

グラム陽性菌に対する活性はペニシリンやアンピシリンに比べると若干劣りますが、グラム陰性菌に対する抗菌活性が強くなっています。
、属の一部、「SPACE」といわれる院内感染で問題になるグラム陰性桿菌(このうち、「A」のアシネトバクターは除く)に活性があります。

歯科におけるくすりの使い方:ChapterダイジェストPart1

今回は、歯科でアモキシシリン(先:サワシリン)が大量で処方された例についてです。

アモキシシリンが歯科でよく処方される例としては
サワシリン錠250mg 1回1錠 1日3回毎食後 3日分(または5日分)
などです。


ピボキシル錠(メイアクトMS® 錠,Meiji Seika ファ

ガイドラインp55では、

と記載があります。
なお高リスク心疾患患者は
1)人工弁術後
2)IE の既往
3)姑息的吻合術や人工血管使用例を含む未修復チアノーゼ型先天性心疾患
4)手術,カテーテルを問わず人工材料を用いて修復した先天性心疾患で修復後6ヵ月以内
5)パッチ,人工材料を用いて修復したが,修復部分に遺残病変を伴う場合
6)大動脈縮窄
を含みます。

ルマ(株),50.60 円/錠)と比較して安価である. アモキシシリンに変更することにより,治療効果

アンピシリンの内服版といえる抗菌薬です。
アンピリシンの経口薬と比べて経口吸収率が高く(アモキシシリン約90% vs アンピシリン約50%)であり、内服の際は通常はアモキシシリンを選択します。

[PDF] 根拠に基づいた抗菌薬療法【成人】(2018年7月1日改定)

【アモキシシリン/クラブラン酸】250mg/125mg +【アモキシシリン】250mg 8時間ごと内服
※「オグサワ」療法について
欧米と比べて、国内で発売されている成人用の製剤は、アモキシシリンの含有量が少ないのが特徴です。増量の必要がありますが、合剤で増量してしまうとクラブラン酸の投与量が増えて下痢などの副作用が増えるため、アモキシシリンと組み合わせて処方することが多くあります。

ン®配合錠125SS 、250RSおよびクラバモックス®小児用配合ドライシロップ)が2018年から適応外使用(顎関.

1997年発売のフロモックス®(セフカペン ピボキシル塩酸塩水和物)および2000年発売のジスロマック®(アジスロマイシン水和物)の2剤を20年以上処方し、強い副作用に脅かされることもなく過ごしてきたため、継続で処方されている歯科医師が多いと思われる。現在歯科における適正な抗菌薬は、ペニシリン系薬および第一世代セファロスポリン系で、フロモックス®、メイアクト®(セフジトレンピボキシル)、セフゾン®(セフジニル)、トミロン®(セフテラム ピボキシル)の第三世代セファロスポリンは推奨されていない。マクロライド系薬も耐性菌の増加から適正な使用ではない。
歯周組織炎、歯冠周囲炎および顎炎に対して、アモキシシリン水和物・クラブラン酸カリウム(オーグメンチン®配合錠125SS 、250RSおよびクラバモックス®小児用配合ドライシロップ)が2018年から適応外使用(顎関節症に対するロキソプロフェンナトリウム水和物〔ロキソニン®〕と同様の位置づけで、適応症として添付文書に記載はないが処方可)が認められている。矢野晴美先生(国際医療福祉大学 医学教育総括センター)が「⑥ペニシリン系薬」(p.038-043)で記載されているように、世界的に歯性感染症に対する標準薬であるアモキシシリン水和物・クラブラン酸カリウムが添付文書上の適応疾患でない点については、今後歯科における処方頻度の実態を検討し、公知申請する必要がある。
まず、本章の以下の内容について目を通していただき、基礎的内容についてはその後に読み進めていただければと考えている。

[PDF] アモキシシリン水和物含有製剤の「使用上の注意」の改訂について

「⑤歯科治療時における感染性心内膜炎予防」(p.034-037)では、感染性心内膜炎の予防投与の対象として人工素材で弁形成を行っている疾患(機械弁、人工弁、同種移植弁、経カテーテル大動脈弁治療法〔Transcatheter AorticValve Implantation:TAVI〕も含む)が挙げられている。超高齢社会の進行に伴い、大動脈弁狭窄症の潜在患者数は60歳以上で約284万人、そのうち手術を要する重症の患者は約56万人と推計されている。実際、心臓弁膜症治療に対してTAVIが多くの患者に行われている。TAVIの患者も感染性心内膜炎の対象疾患として考えたほうがよいとの指摘を忘れてはならない。

サワシリン錠250の基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)

レセプト情報・特定健診情報データベース(NDB:National Database of Health Insurance Claims and Specifi c Health Checkups of Japan)は、医療制度改革において医療費適正化を進めていく計画策定に用いるデータとして2006年に整備された。平成31年度のレセプト情報および平成30年度の特定健診情報に基づいて作成された第6回NDBでは、処方薬(内服)の外来(院外)で処方される解熱鎮痛消炎薬の性年齢別薬効分類別数量について、セレコックス®錠、カロナール®錠、ノイロトロピン®錠、ロキソニン®錠、トラムセット®配合錠などが上位を占めている。これらの薬物は、作用機序が異なることから、使用にあたっては、それぞれの薬物について適応や副作用など留意すべき点を十分に把握しておく必要がある。とくに、基礎疾患を有している患者が増加している現状を鑑みると、適正な薬物の選択にはアップデートされた情報の収集が不可欠である。
そのような観点から、本章の前半は、化学的特性に従って非ステロイド性抗炎症薬を①酸性NSAIDs、②塩基性NSAIDs、③中性NSAIDsに分類し、それぞれに属する薬物についてまとめている。加えて、作用特性の視点から、④作用時間の違いと⑤剤形の違いからみたNSAIDsの使い方について解説している。アセトアミノフェンは抗炎症作用が弱く、NSAIDsには含まれないため、別に項を設けて説明している。
本章の後半は、慢性疼痛に対する薬物療法に用いられ、近年、使用頻度が高まっているプレガバリンやガバペンチンをはじめとするCa2+チャネルα2δサブユニットに作用する薬物について説明するとともに、モルヒネに代表される麻薬性鎮痛薬を含むオピオイド受容体に作用する鎮痛薬について解説している。とくに、オピオイド鎮痛薬を実際に使用する場面が多い口腔がんなどに伴う疼痛に対する薬物療法に関しては、がん性疼痛として項を独立させて、WHOの3段階除痛ラダーならびにエレベーター方式に基づいた弱オピオイドと強オピオイドの使用方法や各種剤形による具体的使用法について解説している。

8.ジスロマック・フロモックス・クラビットの臨床検査値の発現率 ..

近年の新しい薬物の開発はめざましいものがあり、とくに分子標的薬の普及は多くの難治性疾患の治療に福音をもたらし、患者のQOLの向上に貢献している。当然のことながら、歯科医療を提供する側においては、それら新しい薬物の服用患者に対して安全・安心な医療の提供を行ううえで、薬物の作用機序を理解することが求められる。
歯科医療提供者がより医療的な情報に関心を向けるべきとした意識をもつ転機となったのが、骨粗鬆症に対する治療薬・ビスホスホネートによる顎骨壊死の発生であったといえる。骨組織の代謝に影響を及ぼす薬物と、その薬物による顎骨の骨治癒への影響の理解が十分でなかったなかでBRONJ(Bisphosphonate related osteo necrosis of the jaw)という難治性の疾患が出現したことは、歯科医療界において、ある種のパニック状態をもたらしたといえる。一方で、BRONJを通して骨修飾薬を理解するにつれ、骨折の予防によってもたらされる患者のQOLの向上や健康寿命の延伸、さらにはがん治療成績の向上などの効果についての理解が進み、高齢者や悪性腫瘍患者への侵襲的治療となり得る歯科医療の提供について考える機会になったといえる。さらに、分子標的薬の骨疾患治療への導入により、歯科医師はさらに薬物の知識の必要性を感じていると思われる。
いずれにせよ、顎骨の疾患を取り扱う歯科医師においては、骨修飾薬の最新情報についての理解が必須の事項といえる。
本章では、具体的な骨疾患の治療についての項目を多く設定した。薬理学的な内容から臨床的な内容について極めて詳しく執筆してもらうことにより、患者が使用している各々の薬物の基礎的な作用や、それによって生じるさまざまな病態を理解し、適切な患者指導や治療提供に貢献できるものと考えている。