2.2 伝染性単核症の患者[発疹の発現頻度を高めるおそれがある。] 4
伝染性単核球症はEBウイルスやサイトメガロウイルスの初感染の際に呈する疾患であり,思春期以降にみられる。EBウイルスによる伝染性単核球症では発熱,咽頭痛,リンパ節腫脹などが特徴である。
Epstein-Bar(EB)ウイルス感染症(伝染性単核症:IM)
答えは細菌性扁桃炎です。
これは連休中に体調を崩した筆者の話です。笑
救急外来で患者を見るようになって、若年の発熱の原因として非常に多いなと感じております。特に冬場はインフルエンザ、ウイルス性咽頭炎などとの鑑別が重要で、この時に役立つのがmodified centor criteriaです。
筆者の症例の場合、modified centor criteriaは38度以上の発熱で1点、咳嗽(-)で1点、前頸部リンパ節圧痛(+)で1点、扁桃腫大or白苔付着で1点、年齢15〜44歳で0点、計4点で細菌性の咽頭炎の可能性が高いです。
この場合、リウマチ熱の予防の観点から、10日間の抗菌薬投与が必要となってきます。1stはアモキシシリンですが、伝染性単核球症を否定できない場合は禁忌となりうるので、クリンダマイシンを処方することもあるようです。アモキシシリンを処方する場合はエコーで脾腫の有無、血液検査で異形リンパ球の出現などがないかは確認が必要です。扁桃周囲膿瘍への進展を考える場合は開口障害や口蓋垂偏位なども重要です。
筆者は大学2回生から扁桃炎を繰り返しているため、細菌性扁桃炎の可能性が高く同期にアモキシシリンを処方してもらい現在は元気にしております。細菌性扁桃炎は繰り返すことも多いので、1st episodeかどうかも問診上重要になってきます。
京都桂病院では2次までの受け入れとなっていますが、救急の受け入れは右肩上がりで、このようなcommon diseaseを診る機会は非常に多いため、勉強になると思います。数年後には3次も受け入れられる病院になる予定で、救急科のBOSSも3次を想定した教育をしてくださってます。3次はちょっと…と思っている方にもオススメの病院なので是非一度見学を!
主な感染経路はEBウイルスを含む唾液を介した感染であり,乳幼児期に初感染を受けた場合は不顕性感染であることが多いが,思春期以降に感染した場合には伝染性単核球症を発症することが多く,kissing diseaseとも呼ばれる。発熱,咽頭痛,白苔を伴う扁桃腺腫大や頸部リンパ節腫脹といった症状・身体所見は溶連菌性咽頭炎に似るが,溶連菌性咽頭炎と思ってアモキシシリンを投与すると高率に皮疹が出現するため,両者の鑑別には十分に注意を払いたい。
2.2 伝染性単核症の患者[発疹の発現頻度を高めるおそれがある。] 注意
ドイツです。
連休も開けましたがみなさんいかがお過ごしでしょうか。
突然ですが問題です。
26歳男性、2日前からの発熱•悪寒戦慄を主訴に来院。
バイタル
BP132/86mmHg、HR90bpm、RR20回/分、SpO2 95%、BT38.1度。
身体所見
鼻汁(-)、咳嗽(-)、咽頭痛(+)、全頸部リンパ節に圧痛(+)、咽頭発赤(+)、扁桃腫大(+)、扁桃白苔(+)。
さて以上の所見で何を考えるでしょうか?
VCA およびEA はIgG,IgM,IgA 抗体を測定できる。VCA IgM は通常、初感染急性期に検出されるが、乳幼児では検出されない場合があること、慢性活動性EBV 感染症の場合にも陽性を呈することがあるため、注意を要する。VCA IgG は回復期に上昇してくるが、年長児の方が早く上昇するので、IM の急性期から陽性であることが多く、その後陽性が持続する。一方、VCA IgA は上咽頭癌や慢性活動性EBV 感染症などの特異な病態の時に検出されることが多い。
EA IgG はIM の急性期の終わりから回復期にEBNA 抗体より早く検出され、数カ月の経過で陰性化する。その後再活性化に伴い再び検出されるようになる。EA IgM は急性期のほとんどの症例で検出されるが、検出期間が長いため回復期になっても陽性であることが少なくなく、解釈には注意を要する。
EBNA 抗体は感染後数カ月経過してから検出されるため、IMの急性期では陰性である。しかし、EA IgG とは異なり、その後陽性が持続する。EBNA抗体の上昇が遅く、EA IgM が陰性化してもなおEBNA 抗体陰性の時期がある場合があるので、注意が必要である。
いずれにしても、一つの抗体価のみでEBV 感染症の病態を把握することは困難であり、必ず急性期と4 〜6 週後の回復期、必要ならばさらに数カ月後の複数の血清を用いて結果を判断すべきである。
他に用いられる検査方法としてポールバンネル反応(Paul‐Bunnell reaction test )があるが、最近は上記のEBV 特異的抗体を用いて診断することが多いこと、日本のIM の患者においては陰性例が少なからず存在することから、この方法を用いることは少なくなっている。これは、IM 患者血清中にはヒツジ、ウマ、ウシ、ヤギの赤血球を凝集させる物質(heterophile agglutinin )が存在するが、この凝集素の特異な吸収パターンを利用したものである。
また最近では、分子生物学的手法を用いた診断が行われるようになり、定量的polymerase chain reaction (PCR)法を用いて血漿中のfree EBV genome 量を測定し、診断に応用できるようになってきた。Kimura らは
伝染性単核球症,レプトスピラ症,ハンセン病,ライム病,回帰熱,マラリア,強皮症,全身性エリテマトーデス,甲状腺炎,ピンタ,Yaws
発疹は主に体幹、上肢に出現し、斑状、丘疹状の麻疹様あるいは風疹様紅斑であり、その形態は多彩である。アンピシリン(ABPC)を 内服すると薬疹を生じて、鮮明な浸出性紅斑様皮疹や丘疹などを呈す。同時に赤血球沈降速度の亢進や、ポリクローナルな高ガンマグロブリン血症、リウマチ因 子、寒冷凝集素、抗核抗体の産生などが認められる。この現象はEBV によるIM のみならず、CMV によるIM においても認められる。
リンパ球増加は診断基準にも含まれており、特徴的な所見であるが、一部に白血球減少を認める場合もある。異型リンパ球は、Bリンパ球増殖に対しておこった CD4 陽性細胞や、NK 細胞から産生されたサイトカインにより、CD8 陽性cytotoxic T lymphocyte (CTL)が活性化したものであるといわれている。10%から中には50%と著増する場合もあるが、中には数%以下の症例も認められる。CD4/CD8 比はCD4 陽性細胞の減少、CD8 陽性細胞の増加により1以下である場合が多い。
肝機能異常はほとんどの症例で認められるが、AST/ALT の増加は第2週頃をピークとして300〜500IU/L 程度のことが多い。黄疸を伴うことはまれである。なかにはAST/ALT が数千IU/L と著明な肝機能異常を伴うことがあり、注意を要する。
肝脾腫の頻度は表1 に示すとおりで、肝腫大の方が頻度が高い。肝臓は肋骨弓下1〜2 横指触知されることが多い。脾腫に関しては、時に巨大脾腫から脾破裂に至ることもあるため、注意を要する。
合併症として認められる中枢神経症状には、無菌性髄膜炎、脳炎、急性片麻痺、Guillain‐Barre症候群、視神経炎、脳神経麻痺、末梢神経炎、 横断性脊髄炎、急性小脳失調、中枢神経系のリンパ腫などが含まれる。その他まれではあるが、溶血性貧血、血小板減少、再生不良性貧血、B細胞リンパ腫、心 筋炎、心膜炎、肺炎、気道閉塞などの報告もある。通常self‐limited な疾患であるが、遺伝疾患である伴性劣性リンパ球増殖症候群(X‐linked lymphoproliferative syndrome :XLP;Duncan 病)の患者では、先天的にEBV 特異的CTL 活性が誘導されないため、不死化したBリンパ球が減少しないことと、NK活性が低いことも原因となり、致死性伝染性単核症となる。ここでは詳細について触 れないが、IM とは別の病態である慢性活動性EBV 感染症の長期予後は依然不良である。
なお、一般にCMVによる場合は、EBVによる場合に比して、咽頭扁桃炎、巨大脾腫の頻度が少なく、異好抗体を産生しない。
4 〜6週間の長い潜伏期を経て発熱、咽頭扁桃炎、リンパ節腫脹、発疹、末梢リンパ球増加、異型リンパ球増加、肝機能異常、肝脾腫などを示す急性感染症である。また、中枢神経症状を呈する症例が認められる。発熱は高頻度に認められ、多くの場合38 ℃以上の高熱で1〜2週間持続する場合が多い。扁桃には偽膜形成を認め、口蓋は発赤が著明で出血斑を認めることもあり、咽頭痛を伴う。リンパ節の腫脹は1〜2週頃をピークとして全身に認められるものの、頚部が主である。
伝染性単核症 · 天然痘 · 毒素原性大腸菌感染症 · トキソプラズマ症 · 突発性発疹 ..
一般に,伝染性単核球症では後頸部リンパ節腫脹がみられることが多いのに対し,溶連菌性咽頭炎では前頸部リンパ節腫脹がみられることが多い。また,肝機能障害や異型リンパ球がみられる点も,伝染性単核球症の特徴である。なお,伝染性単核球症様の症状を呈する感染症として,ほかに急性HIV感染症,トキソプラズマ症が挙げられる。
ほとんどがEBV の初感染によるが、一部サイトメガロウイルス(CMV)、HHV‐6 、アデノウイルス(ADV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス (HBV)、トキソプラズマ、リケッチアによっておこりうる。EBVはヒトヘルペスウイルス科γ亜科に属する約172kbp の2本鎖DNAウイルスで、直径は約150〜220nm である。ヘルペスウイルスの性質上、ひとたび宿主に感染すると一生その宿主に潜伏感染し、免疫抑制状態下で再活性化する性質を有する。
EBV はまず咽頭上皮細胞に感染し、そこで増えたウイルスが、主にEBV の標的細胞であるBリンパ球(一部、Tリンパ球やnatural killer (NK)細胞)に感染する。その機序は、EBV のenvelope蛋白であるgp350/220 と細胞の補体レセプターCD21 との結合で細胞に吸着することである。CD21は主にB リンパ球に発現しているが、T リンパ球、NK 細胞、咽頭上皮を含む上皮細胞にも発現しており、感染のターゲットとなり得る。その後ウイルスはendocytosis により細胞内に取り込まれ、ウイルスDNA はウイルス粒子の中では線状で存在し、潜伏感染状態では環状に変化し、核内で維持される。しかし、この状態ではウイルスは産生されず、一部の遺伝子(EBNA‐1,‐2,‐ 3a,‐3b,‐3c, ‐LP, LMP‐1,‐ 2a,‐ 2b, BARF0, EBER‐1,‐2)のみが発現している潜伏感染状態に入る。再活性化がおこると、まず前早期抗原(immediate early antigen :IEA ;BZLF1, BRLF 1)が作られ、その後早期抗原(early antigen :EA;酵素類)、後期抗原(late antigen :LA ;capsid 蛋白、envelope 蛋白)が作られ、ウイルス粒子の産生が始まる。
EBV がlytic cycle (増殖サイクル)に入るとviral IL‐10(vIL‐10)が産生されることが、Stewart ら(1992年)
〈ヘリコバクター・ピロリ感染を除く感染症〉成人:アモキシシリン水和物 ..
症例)20代男性 既往歴、併用薬なし
開始日:4日前から咽頭違和感と発熱あり。両側扁桃に白苔(はくたい)、黒色化したびらんを認めた。
インフルエンザ、COVID-19、溶連菌検査の結果、すべて陰性。
オーグメンチン配合錠250RS(クラブラン酸・AMPC250mg)、サワシリン錠(AMPC)250mg各1錠1日3回毎食後で服用開始。
開始4日後:2回目の受診。
前日38℃、咽頭痛。両側口蓋(こうがい)扁桃腫大あり、白苔なし。腹部に発疹あり、伝染性単核球症を疑い、オーグメンチン、サワシリン中止。EBV-VCA-IgM 2.5【陽性】、AST:69、ALT:217、γGTP:301、ALP:180
開始5日後:解熱、咽頭痛消失。
10日後:3回目の受診で、発疹、肝機能改善傾向。AST:28、ALT:53、γGTP:152、 ALP:99
その後、受診なし。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者; 伝染性単核症の患者[発疹の発現頻度を高めるおそれがある。] 原則禁忌
伝染性単核症(infectious mononucleosis, 以下IM)は思春期から若年青年層に好発し、大部分がEpstein‐Barr ウイルス(EBV)の初感染によっておこる。主な感染経路はEBV を含む唾液を介した感染(一部、輸血による感染も報告されている)であり、乳幼児期に初感染をうけた場合は不顕性感染であることが多いが、思春期以降に感染した場合にIM を発症することが多く、kissing disease とも呼ばれている。EBV の既感染者の約15〜20%は唾液中にウイルスを排泄しており、感染源となりうる
2歳未満の小児で、鼻汁、鼻閉に引き続き、咳・呼気性喘鳴や努力呼吸を呈する気道感染症であ
エプスタインバーウイルス(Epstein-Barr Virus=EBV)初回感染で発症する伝染性単核球症は、発熱、咽頭・扁桃(へんとう)炎や極度の倦怠(けんたい)感、肝障害、リンパ節や脾臓(ひぞう)の腫れなどの症状がみられます。発症中にアモキシシリン(AMPC)などのアミノペニシリン系抗生物質を投与すると、ほぼ全例に発疹が出現します。
とする伝染性単核症があるが、 伝染性単核症の患者では、前述のCentor の基準や ..
治療4, 5)
ペニシリンG(バイシリンG®)が第一選択であったが、現在国内で流通していない。そのため、現在は、アモキシシリンを第1選択とする。ただし、EBウイルスによる伝染性単核球症(GAS咽頭炎と症状・所見が似ている)の場合、高率に皮疹を起こすので、注意して使用する。ペニシリンアレルギーがある場合にはクリンダマイシンを使用するが、即時型反応でなければセファレキシンを検討してもよい。日本ではマクロライド耐性溶連菌が増加しているのでクラリスロマイシンやアジスロマイシンは使わない。咽頭炎にレボフロキサシンや広域セファロスポリンを用いる意義はない。難治性、再発性の場合、扁桃周囲膿瘍などの重症例を疑う場合は、感染症コンサルトを考慮する。
アモキシシリンの成分に対して過敏症の既往歴がある人; 伝染性単核症の人
clsaacによるModified Centor criteria2)
年齢、症状、身体所見から、検査・抗菌薬治療の必要性を判断することができる。2点以上の場合には、A群溶連菌迅速抗原検査(Strep)を行う。感度70〜90%、特異度95%。陽性の場合は抗菌薬治療を行う。陰性の場合は、小児・青年期では、さらに咽頭培養(より感度が高い)を行うことがあるが、成人では不要3)。ただし、迅速検査と咽頭培養を同時に行うと保険で切られてしまうため注意を要する。
また、伝染性単核球症というEBウイルスやサイトメガロウイルスによる咽頭炎との ..
成人の咽頭炎の多くはウイルス性であり、抗菌薬は不要である。特に咳、鼻汁、嗄声など咽頭以外の症状を伴う場合には、ウイルス性の可能性が高い。成人では細菌性咽頭炎は20%程度で、その多くがA群溶血性連鎖球菌(GAS)によるため、ペニシリンGまたはアモキシシリンで治療する。治療の目的は、症状の緩和(1-2日間罹病期間が短縮)、扁桃周囲膿瘍のような化膿性合併症の予防(NNT27)、周囲への飛沫感染予防(投与後24時間で感染性が減少)、リウマチ熱の予防(NNT3000〜4000)である1)
またEBウイルスによる伝染性単核球症にペニシリン系抗生剤を使用すると ..
EBウイルスの特異抗体にはVCA(virus capsid antigen)抗体,EA(early antigen)抗体,EBNA(EBV nuclear antigen)抗体,の3種類があるが,伝染性単核球症の診断には主にVCAおよびEBNAを用いる。VCA IgMが陽性でありEBNAが陰性であれば通常,EBウイルスによる伝染性単核球症と診断できる。EBNAが陽性であれば,EBウイルスに既感染の状態と考えられる。