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メラトニン受容体をコードするヒト遺伝子において、2型糖尿病のリスクを高める複数の多型が同定された。この成果を報告する3つの論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。これは、体内時計を制御するメラトニンと2型糖尿病のつながりを示す、初めてヒトで得られた遺伝学的証拠である。
メラトニン量が高まると、インスリン放出の抑制やインスリン感受性の低下が起こり、耐糖能が低下する可
メラトニンは、生物の約24時間周期の概日リズムを制御することが知られている。そしてインスリン濃度は、この周期で変動し、夜間に最低値に達する。概日リズムの乱れと糖尿病を結びつける証拠は、いくつかの研究で示されていたが、今回の3つの研究は、遺伝的な結びつきがあることを明らかにしている。
2型糖尿病の危険因子である血糖値の高低と関連する多型の同定を試みるため、過去のいくつかの全ゲノム関連解析によるデータがプールされてきた。今回、米国ミシガン大学のG Abecasisらは、2つのヒトメラトニン受容体の1つをコードするMTNR1B遺伝子の多型が、血糖値と2型糖尿病のリスクをともに高めることを報告している。
Melatonin and risk of type 2 diabetes ..
また、ロンドン大学インペリアルカレッジ(英国)のP Froguelらは、この多型の近くに位置するMTNR1B遺伝子近傍の別の多型についても同じ結果が得られたことを報告している。この遺伝解析の結果は、ルンド大学(スウェーデン)のL Groopの研究チームによって確認された。さらにGroopらは、MTNR1B遺伝子のリスク多型をもつ被験者の膵臓のインスリン産生細胞でMTNR1B遺伝子が高発現すること、そしてメラトニンの存在下では、グルコースに反応した膵臓β細胞からのインスリン放出が阻害されることを明らかにした。
これら3つの研究のすべてで、1つ以上のメラトニン受容体に遺伝性変異があると、メラトニンがインスリン放出に与える直接的影響を介して、糖尿病にかかりやすくなる可能性があるという考え方が示されている。
「注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したプレスリリースを翻訳したものです。
セロトニンは、脳から分泌される睡眠ホルモンであるメラトニンの原料。メラトニンには、季節のリズム、睡眠・覚醒リズム、ホルモン分泌のリズムといった 概日リズム(サーカディアンリズム)を調整する作用がある。
以前から睡眠時間が短いと糖尿病になりやすいことが知られていたが、最近ではメラトニンが不足すると糖尿病の発症率が高くなるという研究が報告されている。
メラトニン分泌の低下と2型糖尿病発症リスクの増大が独立して関連していることが明らかにされた。米国・ハーバード公衆衛生大学院のCiaran J. McMullan氏らが行った症例対照研究の結果で、夜間のメラトニン分泌低下とインスリン抵抗性の増大との関連も明らかになったという。メラトニンは体内時計のコントロール下にあり、一般的には夜間の就寝後3~5時間で分泌はピークに達し日中はほとんど産生されない。先行研究において、メラトニンの糖代謝における役割の可能性が示唆され、またゲノムワイド研究ではメラトニン受容体の機能喪失と2型糖尿病発症率との関連などが報告されていたが、メラトニン分泌と2型糖尿病との関連を前向きに検討した報告はなかった。JAMA誌2013年4月3日号掲載の報告。
本検討は、看護師健康スタディ(Nurses' Health Study)コホートを対象とし、2000年のベースライン時に糖尿病を発症しておらず、尿および血液検体を提供しており、その後2000~2012年の間に2型糖尿病を発症した女性参加者を特定して行われた。
ベースライン時と2型糖尿病発症時とのメラトニン分泌の関連について、人口統計学的特性、生活習慣、睡眠の質、炎症性と内皮機能障害のバイオマーカーで調整後に多変量条件付きロジスティック回帰分析にて評価を行った。
症例群370例を特定し、リスク適合対照群として特定した370例と比較検討した。
ベースラインでのクレアチニン値は両群で同程度であった(p=0.20)。しかし、尿中メラトニン分泌(6-sulfatoxymelatonin)/クレアチニン比の中央値は、症例群28.2ng/mg(5~95%範囲:5.5~84.2ng/mg)に対し、対照群36.3ng/mg(同:6.9~110.8ng/mg)だった(p<0.001)。
メラトニン分泌/クレアチニンの推定ログ比率三分位(低中高)に階層化し検討した結果、同値が低い被験者のほうが、2型糖尿病のリスクが増大する関連が認められた。調整後のリスクは同比率1低下につき1.48倍であった(多変量オッズ比:1.48、95%信頼区間:1.11~1.98)。
また、同比率低下三分位の高値群(≧49.1ng/mg)と比べて、低値群(≦26.1ng/mg)の2型糖尿病の発症率は2.17倍であった(多変量オッズ比:2.17、95%信頼区間:1.18~3.98)。
メラトニン分泌高値群の2型糖尿病発症率は4.27/1,000人・年に対し、同低値群は9.27/1,000人・年と推定された。
著者は、「メラトニン分泌低下と2型糖尿病発症の高リスクに独立した関連が認められた。メラトニン分泌が一般集団における糖尿病の修正可能なリスク因子であるか、今後のさらなる研究が求められる」とまとめている。
[PDF] 項 内 容 名称 メラトニン、松果体ホルモン [英]Melatonin [学名]
食事からのメラトニン摂取と肝がん罹患との関連を評価する研究が、3万人以上の日本人を対象に行われた。その結果、メラトニンの摂取量が多いほど肝がんのリスクが低下することが明らかとなった。岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学分野の和田恵子氏らによる研究結果であり、「Cancer Science」に2月14日掲載された。
メラトニンは、概日リズムを調整し、睡眠を促す内因性ホルモンである。主に脳の松果体で生成されるが、体内組織に広く分布し、抗酸化、抗炎症、免疫調節などにも関与している。メラトニンは肝臓でも合成・代謝され、細胞保護や発がん予防などの作用があることも示されている。
一方、メラトニンは体外からも摂取される。医療上の用途は主に睡眠の調節に限られるが、肝がんなどの他疾患への臨床応用も期待されている。また、食品中にも含まれることが知られており、含有量が比較的多い食品として、野菜、植物の種子、卵が挙げられる。医薬品やサプリメントと比べると、食品中のメラトニン含有量はかなり少ないが、メラトニンが豊富な食品の摂取により血中メラトニン濃度が上昇することが報告されている。著者らは過去の研究で食事からのメラトニン摂取量が多いほど死亡リスクが低下することを示したが、メラトニン摂取量とがん罹患の関連についてはこれまでに研究されていない。
そこで著者らは、岐阜県高山市の住民対象コホート研究「高山スタディ」のデータを用いて、食事からのメラトニン摂取量と肝がん罹患との関連を検討した。研究対象は、1992年9月時点で35歳以上だった人のうち、がんの既往歴がある人を除いた3万824人(男性1万4,240人、女性1万6,584人)。食事に関する情報を食物摂取頻度調査票(FFQ)から入手し、食品中のメラトニン含有量の測定には液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法を用いた。
その結果、対象者のメラトニンの主な摂取源は、野菜(49%)、穀類(34%)、卵(5%)、コーヒー(4%)だった。エネルギー調整済みのメラトニン摂取量の三分位で3群に分けて比較したところ、メラトニン摂取量の多い群は、女性が多い、糖尿病の既往歴がある、睡眠時間が短い、喫煙歴がない、コーヒーを1日1杯以上飲むなどの傾向が見られた。メラトニン摂取量の少ない群はアルコール摂取量が多かった。
平均13.6年の追跡期間中、189人が肝がんを罹患し、その内訳はメラトニン摂取量の多い群が49人、中間の群が50人、少ない群が90人だった。COX比例ハザードモデルを用いて、患者背景の差(性別、年齢、BMI、教育年数、糖尿病歴、身体活動、喫煙状況、アルコール摂取量、総エネルギー摂取量、コーヒー摂取量、閉経の有無、睡眠時間)を調整して解析した結果、メラトニンの摂取量が少ない群と比べて、中間の群と多い群では、肝がんのリスクが有意に低下する傾向が認められた(ハザード比はそれぞれ0.64と0.65、傾向性P=0.023)。性別による交互作用は見られなかった(交互作用P=0.54)。一方、メラトニンの前駆体であるトリプトファンの摂取量は、肝がんのリスクとは関連していなかった。
以上の結果について著者らは、さらなる研究で確認される必要があるものの、結論として「食事からのメラトニンの摂取により、肝がんのリスクが低下する可能性が示唆された」と述べている。
メラトニンは、睡眠を促し、概日リズムを整える内因性ホルモン、主に脳の松果体で生成される。このホルモンは体内の様々な組織に存在し、抗酸化や抗炎症、免疫調節といった機能も果たしている。また、メラトニンは肝臓で合成・代謝され、細胞保護やがん予防の効果があることも示唆されている。
「Business Journal」医療記事の取材・監修を受けました。Vol.9
平均追跡期間13.6年の間に、189人が肝がんを発症した。内訳は、メラトニン摂取量が多いグループが49人、中間のグループが50人、少ないグループが90人であった。COX比例ハザードモデルを用い、性別、年齢、BMI、教育年数、糖尿病歴、身体活動、喫煙状況、アルコール摂取量、総エネルギー摂取量、コーヒー摂取量、閉経の有無、睡眠時間などの背景を調整して解析を行った。